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3.11取材報告:石のスープ

フリーランスのライターやジャーナリストがお届けする有料メールマガジン「石のスープ」。東日本大震災の取材報告を中心に、バラバラのフリーランサー達が集まって一つの媒体と作ると、どんな味に仕上がるでしょうか……

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渡部真【勝手気ままに】vol.8「冥福を祈らない」 



週刊 石のスープ
定期号[2012年6月16日号/通巻No.37]

今号の執筆担当:渡部真




 いつも「週刊 石のスープ」をご愛読いただきありがとうございます。
 今号は、先日亡くなった故・日隅一雄さんの追悼記事でした。ダイジェスト版として公開いたします。




 僕は無神論者で無宗教だ。

 なので、人が亡くなっても冥福を祈るようなことがない。
 正直言うと、冥福を祈る意味が分からない。
 死んでしまった人に、何と声かけていいのか、僕はいつも分からない。
 子どもの頃から今に至るまで、分からないままでいる。

 先月、父が他界したが、やはり父も無神論者だったので、僕は手もあわせなかった。

*  *  *  *  *  *


 2012年6月12日、日隅一雄さんが亡くなった。

 日隅さんと知り合ったのは、たぶん2008年。オリコン裁判の二審から代理人を担当された時、裁判傍聴のあとに紹介されたんだと思う。ただ、その頃はとくに交流はなく、いろいろとお付き合いをさせていただくようになったのは、2010年に僕が会見開放運動に携わるようになってからだ。

 僕が事務局の手伝いをしている「会見開放を求める会」の中心メンバーの1人が、日隅さんだった。
 この活動を通じて日隅さんに色々と教えていただいた。日隅さんが「メールで質問してくれれば答えますよ」と言ってくれたので、著書「マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか」を読んだ上で、メールでやりとりしたり、直接会ったときや電話で教えてもらったり、あるいはブログで補足している点を教えていただいた。お忙しいのに、けっこう時間とってもらって、ありがたかった。とくにクロスオーナーシップなどについて、僕の理論武装の基礎は、ほとんど日隅さんに教えていただいたものだ。

 ちょうど今、「ビデオニュース」が、日隅さんが2008年に出演した番組の再公開をしている。ここには、僕が日隅さんから教わった事が凝縮されているので、もしまだよく分からない人がいたら、ぜひ参考にしてほしい。

[amazon]マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか
http://www.amazon.co.jp/dp/4877985131

[ビデオニュース]
マル激トーク・オン・ディマンド 第380回 NHK裁判とマスゴミ問題
http://www.videonews.com/on-demand/0371371380/000783.php

 知り合った頃、僕は日隅さんを「日隅先生」と呼んでいた。日隅さんから「先生はやめてください」と何度も言われたが、つい「先生」と付けてしまった。弁護士として知ったこともあるし、僕にとっては文字通り教師でもあったのだ。

 正直言って、僕はそれほど親しかった訳じゃない。
 この2年ちょっと、会ってじっくり話す時は、いつも質問して教えてもらうか、相談事ばかりだった気がする。だから、日隅さんの個人的な事は、ほとんど聞かなかった。
 しかし、会見開放運動の仲間あるいは先輩・後輩として、日隅さんとは共闘してきた。ここについては、本当に世話になった。

*  *  *  *  *  *


 昨年6月、日隅さんが末期癌だと知らされた。
 会見開放運動の仲間らから「日隅さんが残したい言葉を、皆に聞いてもらえる場を作ってあげたい」と声が上がり、ご本人に相談したところ、討論会のような形でやりたいと言われたため、8月に日隅さんが関わった4つのジャーナリスト団体の共催で、討論会を行った。
 こちらも、「ニコニコニュース」のご厚意で、現在、再公開されているので、よかったら見てほしい。

[ニコニコ生放送]「いまメディアと市民はどう動くべきか」公開討論会&記者会見
http://nico.ms/lv59551435

 この頃から日隅さんは、「市民一人ひとりが積極的に動く事が大事だ」ということを盛んに口にされるようになった。
 今年2月に「最後のインタビュー」をさせてもらったときも、「市民が積極的に動いてほしい」と訴えていた。

 この「最後のインタビュー」をした日、僕は、自分が書きたいと思っていた本が、ようやく実現できそうだという報告をした。日隅さんはすごく喜んでくれて、「いつ頃で出版ですか?」と聞いてきた。
 その少し前、畠山理仁さんが「自分が担当している日隅さんの対談原稿があるが、まだ出来ていない。日隅さんが安心して逝かないよう、締め切りを延ばしている」と言った事があった。それにあやかって、こうお願いした。
「今年の秋頃のつもりです。遅れている畠山さんの対談原稿よりは早くできあがると思いますので、僕の本が出版されたら、宣伝ために日隅さんが書評書いてくださいね」
「間に合うかな……」
 日隅さんはそう言って静かに笑った。

 その後も、何度かお会いした。
 日隅さんが「温泉に行きたい」とTwitterでつぶやいたので、畠山さんと一緒に「どこでも好きなタイミングでご一緒しますよ」と言った事もある。最後に会った5月下旬、どこかの会見場だったと思うが、その時も「例の件、温泉でもいいし、なんなら警戒区域でも行きましょう」と話をしたら、「そうですね」とだけ言われた。
 これが、最後の会話だった。

 亡くなった日、僕は勝手に「まだ保つらしい」と勘違いして、病室には行かなかった。夜中になったら、昼間から看病している仲間たちと看病を交代するつもりで、仕事しながら待機していた。そしたら、夜になって亡くなったという連絡があった。

 夜中になって、病院に顔を見に行った。
 冥福を祈らない僕は、死化粧をされた日隅さんの顔を見ても、やっぱり何も言葉が浮かんでこなかった。

*  *  *  *  *  *


 日隅さんといえば、この1年、東電会見での活躍が目立っている。それは、晩年の日隅さんのたいへんな功績だと思う。でも僕は、それ以前の日隅さんについても、ちゃんと知ってほしい。

 僕は、日隅さんはジャーナリストというより、優れたメディア・アクティビストだと思っている。
 日隅さんは、自分のなかに信念がある。その明確な信念のもと、アクティビストとしてメディアを使って発信しつづけた人だ。だからこそ、日隅さんは「オルタナティブ・メディアの確立」や「市民メディア」の必要性を訴えつづけたんだと、僕は思っている。

 そういう日隅さんの本来の姿を少しでも多くの人に知ってもらうきっかけを作れれば、僕が日隅さんからいただいた恩は、少し返せるかもしれない。
 日隅さんが生きていた証は、きっと、そうやって日隅さんの気持ちを知っている人達が忘れない事なんだと思う。

 先日、日隅さんが荼毘にふされる前に知人たちが集まった。その場で、数人の人達に「これまでの日隅さんの活動について、それぞれが知っている日隅さんを語り合って、記録に残したい」と声をかけたら、快く引き受けてくれた。
 近いうちに、実現させる予定だ。


 僕は日隅さんの冥福を祈らない。

 だけど、日隅さんに教わった事は、忘れないと思う。





有料メルマガ「週刊 石のスープ」では、4人のフリーランサーが、毎月1本ずつ、それぞれのテーマに沿った記事をお送りしています。

メールマガジンの登録申し込みは「まぐまぐ」から
http://www.mag2.com/m/0001339782.html



■日程決定!8月2日(月)
「風化する光と影」
〜継続する僕らの取材報告〜file01-宮城篇


↓↓詳細はこちら↓↓
http://makoto-craftbox.cocolog-nifty.com/

出演:渋井哲也、畠山理仁、村上和巳
日時:2012年8月2日(月) 19:00〜
会場:Bar ルナベース
    JR「中野」駅/西武新宿線「新井薬師」駅
料金:1500円+飲食代

震災1年で上梓した「風化する光と影」(マイウェイ出版)は、僕らが今後も取材報告を続けていきたいという想いを込めて、サブタイトルに「中間報告」という文字を入れました。
そこでこのたび、同書の執筆陣たちが継続して取材報告をする場を作るため、定期的に取材報告会のイベントをおこなう事になりました。
メディアからは徐々に情報が少なくなっていますが、ぜひ、僕らの取材報告を通じて、今なお現在進行形の東日本大震災の「いま」を知るキッカケにしてください。



■まだまだよろしくお願いします!
風化する光と影
〜“メディアから消えつつある震災”の中間報告

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著 者:渋井哲也 村上和巳 渡部真
発行元:E-Lock P.
発売元:マイウェイ出版(MYWAY MOOK)
定 価:1000円
アマゾンにジャプ→ http://t.co/Afp6g7qY

渋井哲也、渡部真と、ジャーナリストの村上和巳さんの3人が、これまで東日本大震災で未だに記事に出来なかった様々なルポを約35篇書き下ろしました!
まだ終わっていない震災のなかでの暮らし、それでも明日への歩みが進んでいる。あの時、誰もが見つめた現実を、もう一度、しっかりと受け止めるために、災害の検証、原発問題、生活のなかで起きている問題、学校で暮らす子ども達、未来に向けた復興について、などのテーマに分けて構成されています。
メルマガ仲間の三宅勝久、「ときどき登場」の寺家将太さん、ジャーナリストの長岡義幸さん、記者会見ゲリラの畠山理仁さん、ジャーナリストの粥川準二さんも、寄稿してくました。友人の編集者が、僕らが儲かりもしないのに取材を続けてきたことに支援してくれ、まさに赤字覚悟で頑張って発行してくれました。何とぞ宜しくお願いします。



渡部真 わたべ・まこと
1967年、東京都生まれ。広告制作会社を経て、フリーランス編集者・ライターとなる。下町文化、映画、教育問題など、幅広い分野で取材を続け、編集中心に、執筆、撮影、デザインとプリプレス全般において様々な活動を展開。東日本大震災以降、東北各地で取材活動を続けている。
[Twitter] @craft_box
[ブログ] CRAFT BOX ブログ「節穴の目」



■発行元:「週刊 石のスープ」編集部

■文責:渋井哲也・西村仁美・
    三宅勝久・渡部真
■編集:渡部真

■サイト: http://weeklysdp.blog.fc2.com/
■メアド: sdp.snmw(あっとまーく)gmail.com
■登録の解除・変更:まぐまぐ: http://www.mag2.com/


 
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